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争乱の時-第19話 魍魎の乱(3)

須佐妖戦帖.jpg

 

逢魔時(おうまがとき)

 

黄昏(たそがれ)をいふ
百魅(ひゃくみ)の生(せう)ずる時なり
世俗小児(せぞくせうに)を外にいだす事を禁(いまし)む
一説に王莽時(おうもがとき)とかけり
これは王莽前漢(おうもうぜんかん)の代を簒(うば)ひしかど、
程なく後漢の代になりし故、
昼夜のさかひを両漢の間に比(ひ)してかくいふならん
鳥山石燕 今昔画図続百鬼「逢魔時」より

 

日暮れ時を古来、「逢魔が刻(おうまがとき〜逢魔が時)」と呼んだ。
昼と夜の狭間。陽が翳り、闇が覆い始める黄昏の時。闇が世界を呑み込み、冥界の扉が開き、 人界へと魑魅魍魎、物の怪たちが禍々(まがまが)しく、蹂躙(じゅうりん)し出す刻。
魔と出逢う刻。忌語なりし。

 

出雲。
「此の魔物たちは古来から伝わる物の怪では無いぞ」武角が問いた。
「何だと思う?」須佐之男は武角に聞いた。
「西洋に聞いた悪魔の軍団の様です・・・・」
「此の軍団を視て、俺は確信した。武角、若日子(わかひこ)と名乗るあいつは偽物だ」
「え?では、あいつは何者ですか?」
「恐らく・・・西洋に云う悪魔サタン・・・」
「サタン!!!?な、何故?此の日本に?」
「其の前に、遠隔視野で神戸を視た。日の本古来の魔物が暴れている。其れを視れば明かだ」
「どういうことですか?」
「奴と手を組んだ魔は、ほんの一握りってことだ。神戸に集まった連中がせいぜいだ。西洋と幕府を一気に粉砕して日の本を穫れるぞ。とでも云ったか?須佐は俺たちが粉砕する。お前らが数千年掛かっても出来なかったことを我らがやってやる・・・と、でも説いたのかもしれぬ。少数だけが賛同したと云うことだ。武角!偽物の若日子以外は皆、雑魚だ。壊滅させてしまえ」
「偽物の若日子は?」
「俺と小角先生で戦う。武角は先ず、全軍を率いて雑魚を全滅させてくれ」
「魔王サタンであれば?」
「何れ程の力を持つ者か解らぬ。視ろ!小角先生が若日子と戦っている。俺は手助けに行く。行け、武角!」

ぴーーーーつ!指笛を吹くと、大空から大八咫烏が飛来して武角を乗せ、舞い上がった。

5mはあろうかという大天狗共が居た。
「天狗族!飛び回る竜を殲滅せよ!」
「おう!武角殿」
天狗族と多頭の竜共の戦いが始まった。電磁波や螺旋の暴風の戦いである。螺旋の暴風に巻かれた竜や蝙蝠(こうもり)は千切れて消滅した。其処に八咫烏に股がった須佐たちも加わった。空(くう)から大槍と手裏剣の嵐をお見舞いした。其の武器に射された竜や蝙蝠は消滅した。1時間程で殆ど壊滅した。しかし、面倒なのは異空間から手や口を開ける謎の化け物だ。
ぐおおおおおーーーーんん。
「どうやる?」

 

素志て武角は陸に降りて行った。
「須佐と土中の神たちよ!あの禍々しい化け物共を殲滅せよ!」駆け回る須佐の足下から無数の物の怪が出て来た。獺(かわうそ)、淡路の狸たちやらの動物神。河童も混じっている。怨霊の宿った無数の蟲・・・此れが奴らに効いた。払いのけるのが精一杯で結局身体中這いずり回った。素志て「喰らう」のである。
獺、狸、河童たちは他の魔物にしがみつき身動き出来ないようにした。其処を須佐たちが滅多斬りにした。

空でも須佐たちが空(くう)から此の蟲を竜や蝙蝠にまき散らした。忽ち骨だけになって消滅した。

「むううう」
偽若日子は空中で此の惨劇を視ていた。
「若日子!」須佐之男が草薙剣を構えていた。小角の杖から螺旋の電磁波が発信していた。其処に武角も来た。
「若日子!いや!サタン!少し日の本を舐めていたな。お前の軍団は消滅しかかっているぞ」
「須佐之男。見破っていたか。流石だ。如何にも儂(わし)はサタンだ」
そう云うとまさに伝説の悪魔の姿になり、素志て身の丈10mほどに大きくなった。背には大蛇を4匹背負っていた。あの京の山麓で出くわしたものだ。

ヨハネの黙示録では、黙示録の獣と同一視されるため、サタン=竜ということが一部、存在する。

 

↑ギュスターヴ・ドレ「ダンテの神曲」地獄編の挿絵

 

「お前が何故、日の本に居る?」
「欧米の奴らは小賢しい手口で他国を乗っ取って来た。が、其れも限界らしい。人間などゴミに等しい。奴らを支配するなら、まずお前らの粉砕だ。須佐之男!何故?欧米は日の本を支配出来ないと思う?」
「何故?だと?」
「そうだ。何故だ?」
「人間たちが必死に抵抗するからだ」
「其れは微々たるものだ。他に力がある」
「他力だと?」
「八百万(やおよろず)の自然神と云うものだ。其れが邪魔をする。正体は不明だ。だが、奴らはお前らとも繋がっている。だからお前らが邪魔なんだ。此れを喰らえ!」
サタンの身体の真ん中が黒い渦の闇の穴が開いた。

 

ごごごごおーーーーー!!

 

「な、何だ?あれは?」
ぐいぐいと辺りの物を引き寄せ始めた。
「あれは巨大な重力場だ!」
其の穴が輝き始めた。辺りの光までも吸い寄せているからだ。
木や土までも舞い上がって吸い寄せられて行った。
其の中には遥か彼方の出雲の村落の衆や家屋も混じっていた。
「うわああああーーー!!」「助けてくれーーーー」

 

「小角先生!仲間を村民達を部落内へ転送してください」
「部落内は異空間だ。其処しか逃げ道が無いな。須佐之男殿!承知した」
数万の仲間たちが部落内に転送された。が、逃げ後れた者たちも居た。
「う、うぎゃああああーーーー!!」
身体が伸びたと思ったら四方に弾け飛んで、闇の穴に吸い込まれた。
「ぐう!何ですかあれは?小角先生」
「三千世界の宇宙の彼方に無限の重力が存在する天体?があると聞いた。何もかも吸い込んでしまい、其処では光をも吸い込まれるそうだ」
「まさにあれではないですか?!」
「奴は宇宙の一部なのかもしれぬ。法力や呪術、思念波、電撃波などより自然の力の方が脅威なのじゃ」
あの異空間の化け物も自分の空間に逃げ込んでいた。
「宇宙の力に勝てるか?勝てまい。奴は其れを持っている・・・・」
「む・・・す、須佐之男さま!」
「武角、残念だが太刀打ち出来ない」
「此のままでは、現世が・・・・」
「わかっている。が、方法はある」
「え?」
「天孫である、わたしが頼んでみる」
「頼む?誰にですか?」
「サタンも云っていたろう?八百万神だ」
「須佐之男殿、武角殿、わたしの研究の1つが八百万神です。此の姿の無い正体不明の神は・・・云わば、宇宙生命体のようなものです」
「何ですか?其れは」武角が聞いた。
「我らが無意識に借りていた力です。山を動かし、川を逆流させ、異空間・・・次元を、時間を、超える力・・・」
「転輪王ですか?」
「違う」
須佐之男は草薙剣を掲げ、咆哮した。


「八百万神よ!われらに力を貸したもう!」

 

すると大空がぐにゃりと大きく曲がった。

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