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転生者オンム・セティ---前編
オンム・セティ
↑アビドスの遺跡で暮らすオンム・セティことドロシー・ルイーズ・イーディー

ドロシー・ルイーズ・イーディー(1904年-1981年)は、1930年代、埃及(エジプト)考古局で最初の女性職員であります。
大英博物館ウォーリス・バッジ博士を始め、当代一流の埃及学者から直接教わり、20世紀埃及学の生き証人であり、象形文字(ヒエログリフ)の知識、ドローイング技術の高さ、埃及美術の理解の深さ、何れを取っても多くの埃及学者から一目置かれている存在でありました。
ある博士が云った。
「彼女は、研究者と云うより、まるで此処の住民のようだ」
其れも其の筈、彼女は古代埃及約3200年前(第19王朝の第2代ファラオ・セティ1世の時代)の都アビドスで暮らしていた、巫女の生まれ変わりだったのであります。


事の始まりは3歳の時、倫敦(ロンドン)の自宅の階段から転落した。直ちに医者を呼んだが、既に手遅れで、ドロシーは寝室で亡くなってしまった。後、看護婦が埋葬の準備でドロシー宅に遣って来て、寝室に入った彼女は眼を疑った。ドロシーが生き返っていた。ショック状態から仮死状態であったのだろうと推測したが、ドロシーは怪訝(おか)しな事を云い始めた。
「おうちに帰りたい」
「何を云っているの?ドロシー、此処がおうちよ」

9歳の頃、父親はドロシーを大英博物館に連れて行った。彼女は埃及展示室で歓喜の声を上げ、彫刻の足に口づけした。素志て、聞いた事も無い言葉で喚(わめ)き、木乃伊(ミイラ)の棺に、獅噛(しがみ)付こうとし、泣き叫んだ。
彼女に興味を持った、当時の館長ウォーリス・バッジ博士が「学校が終わったら、此処に来なさい。」と云ったのであります。彼女の古代埃及知識は、博士も舌を巻く程のものだった。
「だって、わたし其処に住んで居たんだもの。神殿の巫女で、王さまと恋をしたの。わたしの名前?ベントレシャイトよ」
「ファラオ(王)の名は何て云うんだい?」
「セティ1世よ」
ファラオ・セティ1世は現実に居た王として、記録や遺跡など存在するが、ベントレシャイトと云う巫女の記録は一切無い。
大体、ファラオと巫女の淫通などは死罪に値した筈。其の記録も無い。

セティ1世レリーフ
↑アビドス・オシリス神殿のセティ1世レリーフ

其の後、大人になったドロシーは、埃及政府から永住許可を貰い、現地の考古学者と結婚し、子供が出来た。其の子に「セティ」と名付けたのであります。ご主人は呆れて、其の後、離婚する。ドロシーは「オンム・セティ(セティの母)」と呼ばれた。

1950年代-1970年代、考古局職員としてセティ1世神殿に関わっていたが、彼女は神殿では裸足になり、古代巫女のような衣装を纏(まと)った。知り合いが病気になったり、トラブルに合った時、古代埃及魔術で治療や癒しを行った。
或る夜、夢枕に何処かからの声が聞こえた。其の声は「自分はホル・ラーだ」と云った。
素志て、セティ1世とペントレシャイトの物語を語った。

「ペントレシャイト、罪深き巫女よ。
神殿の建設中、セティ1世は、視察の為、よくアビドスに遣って来た。善き統治者で勇敢な兵士だった。
北側の宮殿で休憩していた時、「聖なる舟の部屋」の南側の庭を散歩していて、お前と合った。ファラオは金髪の髪、青い眼のお前に忽ち、恋に落ちた。2人は愛し合う様になり、子を宿した。其の後、其の事が大神官に知れて、お前は死罪になった。暫くしてアビドスに戻って来たセティ1世は、其の死を聞き、哀しみに暮れた。」

素志て、彼女の夢の中に、毎日セティ1世が現れるように成った。
「愛しきペントレシャイト、やっと会えた。時は随分と流れたようだが、わたしは今も其方を愛している」
「王さま、わたしも嬉しい」
夢の中で2人は愛し合った。素志て、朝まで2人は語り合った。

其の会話は未だ解明されぬ埃及の謎や、場所も解らない古蹟の指示、王妃ネフェルティ ティ(埃及新王国時代の第18王朝ファラオ アクエンアテン(aKH-eN-aToN, イクナートン、旧名アメンホテプ4世)の正妃。ファラオ トゥト・アンク・アメン(TuT-aNKH-aMeN, トゥタンカ-メン)の義母)の木乃伊の場所などを示した。

ネフェルティティ胸像
↑ネフェルティティ胸像(ベルリンの国立博物館所蔵)

1981年4月21日、親しい友人たちが、オンム・セティの家を訪れた。ノックしたが返事がない。
「猫が泣いている」
ドアを押し開け、部屋に入ると皆は息を飲んだ。
24匹以上の猫に囲まれてオンム・セティはベッドの上で亡くなっていた。彼女が飼っていた猫は7匹だったが、偶に来る野良猫も可愛がっていた。其の猫たちが一斉に集まって、彼女に寄り添い、或いは廻りで嗚咽していた。

後半に続く
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